アプリを開発会社に頼むか、ChatGPTなどのAIで自作するか。判断の分かれ目は「誰が使うか」と「何を預かるか」です。AIが書いたコードの安全性の調査をもとに、迷ったときの4つの問いと、自作した試作を持ち込む進め方を解説します。

金井 成仁
合同会社NAVIGATE 代表 | データサイエンティスト / AIコンサルタント
ChatGPT や Claude などのAIを使えば、プログラミングの経験がなくても、動くアプリを作れるようになりました。では、開発会社に頼む必要はもうないのでしょうか。
当社の答えは、「誰が使うか」と「何を預かるか」で分かれる、です。自分や社内の数人が使う試作なら、AIで自作して十分です。一方で、お客様の個人情報やお金を扱うもの、公開して不特定の人に使ってもらうものは、専門家が確認してから世に出すべきです。
当社も日々AIでコードを書いて開発しています。その立場から、判断の分かれ目を整理します。
いまのAIは、「こういう画面で、こういうことがしたい」と文章で伝えるだけで、実際に動くアプリをかなりの水準まで作ってくれます。こうした作り方は「バイブコーディング」とも呼ばれます。
特に向いているのは、次のようなものです。
こうした用途なら、開発会社に数百万円を払う前に、まず自分で作ってみる価値は十分にあります。
注意したいのは、AIが作るのは「動くコード」であって、「安全なコード」とは限らない、という点です。
アメリカのセキュリティ企業 Veracode が2026年に出した調査では、AIが書いたコードの文法はほぼ完璧になった一方で、安全性の検査に通った割合は平均で約56%にとどまり、この1年でほとんど改善していないと報告されています。つまり、見た目は問題なく動いていても、半分近くは安全上の欠陥を抱えている可能性がある、ということです。
もう一つの落とし穴は、作ったAIに、そのまま確認もさせてしまうことです。セキュリティ企業のトレンドマイクロは、同じAIでコードの生成と検証の両方を行うと、確認の形はできていても、実際には「作る人と確かめる人を分ける」という仕組みが働かなくなると指摘しています。
自分で作って自分で使うだけなら、問題が起きても困るのは自分だけです。しかし、他人のデータを預かった瞬間に、その責任は作った人に移ります。
迷ったときは、次の4つを考えてみてください。一つでも「はい」があれば、少なくとも公開する前に専門家の確認を入れることをおすすめします。
すべて「いいえ」なら、AIで自作して、使いながら直していくやり方が一番早くて安く済みます。
「全部自分で作る」か「全部開発会社に頼む」かの二択で考える必要はありません。
AIで作った試作は、開発会社に依頼するときの、何よりわかりやすい「仕様書」になります。文章だけで要望を伝えるより、実際に触れるものを見せたほうが、思っていたものと違う、という行き違いがずっと減ります。
おすすめの進め方は、次のとおりです。
当社でも、お客様がAIで作った試作をお預かりし、安全性の確認や、本番で使える形への作り直しをお受けしています。試作があれば、何を作りたいかがすでに形になっているので、話がずっと早く進みます。詳しくはAI駆動開発によるMVP開発をご覧ください。
開発会社に頼む場合の一般的な相場は、アプリ開発で中央値290万円ほどです(PRONIアイミツ調べ)。一方、AI駆動開発を取り入れている開発会社なら、作るものを絞った最初の版を、もっと小さな費用で作れるようになっています。
相場の詳しい数字と、AI駆動開発で何が変わったかは、アプリ開発の外注の相場はいくら?【2026年版】にまとめています。
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