AI検索対策(AIEO・LLMO・GEO)の営業トークには誇張が混じりがちです。AI経由の流入は現状、多くの企業で全体の1%未満。この事実を正面から認めた上で、それでも今対策する価値がどこにあるのかを、データをもとに整理します。

金井 成仁
合同会社NAVIGATE 代表 | データサイエンティスト / AIコンサルタント
AI検索対策を提供している会社が、あまり言いたがらない事実から始めます。
AI検索経由の流入や問い合わせは、現時点では多くの企業で全体の1%未満です。
「ChatGPTで紹介されれば問い合わせが殺到する」という段階には、まだありません。当社はAI検索対策(AIEO)を事業として提供していますが、この事実を伏せて期待を煽るのは、長期的にお客様のためにも自分たちのためにもならないと考えています。
では、なぜ今やるのか。この記事では、AI経由の集客の「現在地」を正直に示した上で、それでも今対策する理由を、裏付けのあるデータで整理します。
まず、慎重に見るべきデータからです。
流入の量はまだ小さい。 AI検索ツールからの参照流入は、多くのサイトで総流入の1%未満にとどまります。また、AIクローラーがサイトを読む回数に対して、実際にユーザーを送り届ける回数の比率は検索エンジンよりずっと小さいという指摘もあります(Search Engine Landによる整理)。AIは回答の中で情報を完結させるため、そもそもリンクがクリックされにくい構造だからです。
「AIに載せます」を保証できる会社は存在しない。 AIの回答は確率的にゆれ、同じ質問でも出てくる会社は毎回変わります。どんな業者も、特定の回答への掲載や順位を約束することは原理的にできません(この仕組みはAIの「おすすめ」は毎回変わるで詳しく解説しています)。
この2点を踏まえずに「AI経由で売上が何倍にも」という提案があれば、疑ってかかるべきです。
量が小さい一方で、質については別の数字があります。AI検索経由の訪問者は、通常の検索経由よりコンバージョンに至る割合が数倍高いという分析が複数出ています(Semrush系データの分析)。
理由は考えてみれば自然です。AIとの対話の中で要件を絞り込み、比較検討をある程度済ませた上で来訪するため、「もう半分決めている」状態の見込み客が届きます。1%の流入は、1%の価値ではありません。
集客効果がまだ小さくても、AIがあなたの会社を間違って説明する損害は、すでに現実です。
古い住所、終了したサービス、同名の別会社との混同。AIは検索結果の一覧と違って一つの答えを断定的に返すため、間違いに気づかれにくい。取引先の担当者や求職者が「この会社どんな会社?」とAIに聞く場面は、問い合わせフォームに届く前に日常的に起きています。当社自身、同名の別サービスと取り違えられて、身に覚えのない事業内容を説明された経験があります。
ブランドの正確性は、AI経由のCV数と関係なく、今整えるべき衛生要件です。
AI検索での見え方を左右する最大の因子は、第三者からの言及です。Ahrefsが75,000ブランドを分析した調査では、Web上のブランド言及とAI可視性の相関は0.66〜0.71と全因子中で最も強く、逆にサイトのページ数はほぼ無相関(0.19)でした(Ahrefs)。
つまり、効くのは記事の量産ではなく、外部での言及と信頼の蓄積。そしてこれは、お金を積んで短期間で買えるものではありません。市場が本格化してから始めた会社と、2年前から積んでいた会社の差は、そのまま埋めがたい差になります。時間が武器になる施策は、市場が小さいうちに始めるのが定石です。
「AI経由はまだ1%」という現在地と、「情報行動がAIに移っている」という潮流は、矛盾なく両立します。
Googleは検索そのものを対話型のAIモードへ広げ、日本語でも提供を始めました。OpenAIは2026年、ChatGPTへの広告導入に踏み切り、日本を含む市場へ拡大しています。広告市場は人がいない場所には生まれません。プラットフォーマーの動きは、生活者の情報収集がAIへ移りつつあることの証拠です(詳しくはChatGPT広告が日本でも開始と2026年版AI検索動向をご覧ください)。
変化の方向が明確で、積み上げに時間がかかり、かつ今なら誤情報リスクの解消という即時の実益もある。これが「1%でも今やる」の合理性です。
以上を踏まえると、現時点で投資すべきものと、まだ焦らなくていいものが分けられます。
今やるべきこと:
焦らなくていいこと:
そして効果は、「AI経由の問い合わせ数」ではなく、出現率と指名検索の変化で見ます。AIの回答で名前を見た人は、直接リンクを踏むより、後から社名で検索し直すことが多いためです。この測り方はAIEO対策の効果測定にまとめています。
AI検索対策は、「今すぐ売上が跳ねる魔法」ではありません。現在地は流入の1%未満。しかし、質の高い1%であり、誤情報リスクは今の問題であり、効く施策ほど時間がかかり、市場の方向は明確です。
だから当社は、過大な約束の代わりに、正直な期待値と検証可能な計測をセットで提供する方針を取っています。「AI経由は今ほぼ0%でした」という報告から始まることも珍しくありません。それでも、その数字を正確に知っていることが、次の判断の土台になります。
NAVIGATEでは、複数AI×複数回計測にもとづく現状診断を無料で行っています。良い数字も悪い数字も、そのままお出しします。詳細はAI検索対策(AIEO)サービスページをご覧ください。
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