AIEO2026年4月24日

AIに「おすすめの会社」を聞いたら、あなたの会社は出てきますか?——AIEO時代の企業サイト設計

ChatGPTに業種別で「おすすめの会社」を聞く実験を実施。AIが紹介する会社とされない会社の違いから、中小企業が今すぐやるべきAIEO対策を解説します。

金井 成仁

金井 成仁

合同会社NAVIGATE 代表 | データサイエンティスト / AIコンサルタント

検索の主役が、GoogleからAIに変わり始めている

「東京でおすすめの税理士は?」「壁紙を安くきれいにする方法は?」「京都で評判のいい整骨院は?」

こうした質問を、GoogleではなくChatGPTやGeminiに投げる人が急速に増えています。

ある調査では、情報収集の起点としてAIを使うユーザーが2025年から2026年にかけて倍増したというデータもあります。あなたの見込み客も、すでにAIに聞いているかもしれません。

では、AIはあなたの会社のことを正しく紹介してくれるでしょうか?

私たちは実際に、複数の業種でChatGPTに「おすすめの会社」を聞く実験を行いました。その結果は、多くの中小企業にとって見過ごせないものでした。

実験1:「東京でおすすめの税理士事務所を教えて」

ChatGPTにこう聞いたところ、紹介されたのはすべて以下のような事務所でした。

  • 法人化している(個人事務所ではなく税理士法人)
  • Web上に情報がしっかり整理されている
  • サービス内容・強み・対応業種が明確に記載されている

クラウド会計特化、創業支援に実績あり、経営伴走型——いずれも、Web上での情報発信量が豊富な事務所ばかりです。

出てこなかったのは?

  • 地域密着で口コミ評価が高い個人税理士
  • 実力はあるが、Webでの発信をしていない事務所
  • 紹介だけで案件が埋まっている事務所

「おすすめ」として紹介されるかどうかは、実力ではなく「AIが説明できるかどうか」で決まっていました。

実験2:特定の事務所名で聞いてみた

次に、ある税理士事務所の名前を直接ChatGPTに聞いてみました。

Web上に情報が充実していた事務所だったため、所在地・設立年・得意業種・サービス特徴まで、AIはかなり詳しく回答できました。

しかし、ここで問題が発覚しました。

同名の事務所が複数存在するため、AIの回答に別の事務所の情報が混在していたのです。

所在地が違う、規模が違う、得意分野が違う——にも関わらず、AIはそれらを一つの事務所として合成して回答してしまっていました。

これは深刻な問題です。あなたの事務所の情報に、まったく関係のない別の事務所の情報が混ざって紹介される。しかもユーザーはAIの回答を「正解」として受け取ります。

実験3:整骨院で聞いてみた

税理士だけでなく、別の業種でも試しました。

「京都でおすすめの整骨院を教えて」とChatGPTに聞いたところ、Googleマップでの評価が高い院を中心に6〜7院が紹介されました。

次に、紹介されなかったある整骨院の名前を直接聞いてみたところ、美容×整体という特徴やオーダーメイド施術の強みなど、かなり詳しい回答が返ってきました。

AIはその整骨院を「知っている」のに、「おすすめ」には出していない。

つまり、情報があるだけでは不十分で、AIが「おすすめとして紹介する」ための設計が別途必要だということです。

なぜこんなことが起きるのか

AIの回答ロジックを整理すると、構造はシンプルです。

情報が多く整理されている会社 → AIが正確に説明できる → 「おすすめ」として紹介される

情報が少ない・散在している会社 → AIが説明できない → 存在しないのと同じ

同名の会社がある → 情報が混ざる → 間違った紹介をされる

情報はあるが構造化されていない → AIは知っているが推薦しない

Google検索なら、ユーザーは複数の検索結果を見比べて自分で判断できます。しかしAIは「一つの答え」を返します。その答えにあなたの会社が含まれていなければ、選択肢にすら入りません。

SEOだけでは、もう足りない

SEO(検索エンジン最適化)はGoogleの検索結果で上位に表示されるための施策です。多くの企業が取り組んでいます。

しかし、情報収集の手段がAIに移行しつつある今、SEOだけではカバーできない領域が生まれています。

ここで必要になるのがAIEO(AI Engine Optimization) という考え方です。

AIEOとは、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityなど主要なAIが、あなたの会社を正しく理解し、ユーザーに正確に紹介してくれるようにサイトやコンテンツを最適化することです。

似た概念としてLLMO(LLM Optimization)GEO(Generative Engine Optimization) という用語もありますが、本質的にはすべて同じ方向を向いています。「AIに自社を正しく認識・紹介してもらう」ための施策です。

AIに選ばれるための5つの施策

では、具体的に何をすればいいのか。私たちが自社サイトで実践し、効果を確認した施策を5つ紹介します。

1. Aboutページを徹底的に充実させる

AIは「この会社はどんな会社か」を理解するために、Aboutページの情報を重視します。会社概要が表形式の最低限情報だけだと、AIは深い説明ができません。

代表のキャリアストーリー、創業の理由、事業のビジョン、大切にしている価値観——こうした情報は、AIが引用できる固有のコンテンツになります。目安として2,000〜5,000文字のAboutページがあると、AIの理解度が大きく変わります。

2. llms.txtを設置する

llms.txtは、AI向けのサイト要約ファイルです。robots.txtがクローラー向けのファイルであるように、llms.txtはLLM(大規模言語モデル)向けの情報提供ファイルです。

サイトのルートディレクトリに置くだけで、AIがあなたの会社の基本情報・事業内容・連絡先を正確に把握できるようになります。

記載する内容は、会社名・ミッション・代表プロフィール・提供サービス・連絡先など。Markdown形式で書くだけなので、技術的なハードルは高くありません。

3. 構造化データ(JSON-LD)を設置する

構造化データは、Webページの情報を機械が読み取れる形式で記述する仕組みです。Googleのリッチリザルト(検索結果の強調表示)にも使われていますが、AIにとっても重要な情報源です。

特に効果が大きいのは以下のスキーマです。

  • Organization — 会社名、所在地、代表者、設立日、事業内容
  • FAQPage — よくある質問と回答のペア
  • Person — 代表者の経歴・専門分野

これらをHTMLのhead内に設置することで、AIが情報を構造的に理解できるようになります。

4. FAQコンテンツを設計する

AIは本質的に「質問に答える」存在です。つまり、あなたのサイトに質問と回答のペアが豊富にあれば、AIはそれを直接引用しやすくなります。

ポイントは、ユーザーがAIに聞きそうな質問をそのままFAQにすることです。

  • 「御社のサービスの特徴は?」
  • 「料金はいくらですか?」
  • 「どんな業種に対応していますか?」
  • 「他社との違いは?」

これらの質問に対する明確な回答をサイト上に用意し、前述のFAQPage構造化データと合わせて実装すれば、SEOとAIEOを同時に対策できます。

5. 継続的にコンテンツを発信する

AIは「情報量が多く、定期的に更新されているサイト」を信頼する傾向があります。ブログやお知らせを通じて、自社の考え方・実績・業界の知見を継続的に発信することが、長期的なAIEOの強化につながります。

発信内容は「自分にしか書けないこと」が理想です。AIは他では読めない固有情報を高く評価します。サービスの裏側、開発の過程、業界の課題に対する独自の見解——こうしたコンテンツが、AIに引用される確率を高めます。

まとめ:AIに認識されない会社は、存在しないのと同じ

今回の実験でわかったことをまとめます。

  • AIが「おすすめ」として紹介するかどうかは、実力ではなく情報設計で決まる
  • 同名の会社がある場合、AIが情報を混同するリスクがある
  • AIが「知っている」ことと「おすすめする」ことは別の問題
  • SEOだけでなく、AIEO(AI検索最適化)が今後の集客に不可欠
  • Aboutページ・llms.txt・構造化データ・FAQ・継続発信の5つが基本施策

AI検索時代において、情報を正しく整理するだけで、AIはあなたの会社を「おすすめ」として紹介してくれるようになります。

まずは試しに、ChatGPTにご自身の会社名を聞いてみてください。その回答が、あなたの会社のAIEOの現在地を教えてくれます。

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